正解は要らないよもう
はみ出す不器用で戦わないと(ハートロッカー/マカロニえんぴつ)
本番前はカニカマが主食、井本みくにです。
ハイバネカナタ第16回公演『モザンビークス熱情!』、遂に稽古最終日を迎えました。
永久に続く気がしていても終わるもんですね。演劇は終わりがあるから好きだし嫌いです。
私たちは日々自分の本音を隠して生きているわけで、感情をさらけ出すことを求められるハイバネカナタさんの稽古は私にとって本当に難しいのです。
どうしたって嘘をついてしまう。自分を守るために、本当に柔らかい部分には触れられないよう振る舞っている。
そんな当たり前のことに改めて気づきました。
今日の稽古で演出の服部さんから掛けられた「自己嫌悪に陥らなくていいんだよ」という言葉がものすごく苦しくて、涙が溢れました。共演者の見米さんに変顔をしていると思われたり、大橋純七ちゃんに「これで年少者3人が全員稽古場で泣いた」と声をかけられたことで涙は止まりました。
薄皮一枚被って戯けて生きている自覚はあるのだけど、子供のままの自分を抱えているのだと突きつけられた気分です。
誰だってきっとそうなんだろうな。赤子のような繊細さを何重にも包んで身を守っている。
今回演じる役にも通じることなのですが、負けた自分を認めることで人は成長していくのだと思います。
私はなまじ勉強ができたもので、昔から完璧であることに執着していました。
小学二年生の時、たった一問間違えたテストを親に見られるのが恥ずかしくてゴミ箱に捨てました。
高校生の時、下のクラスに入れられたのが嫌で夏期講習をサボって本屋に通って、最後のテストで1位を取って辞めました。
第一志望の早稲田大学に行くのなら願書を出した全ての大学に合格しろと言われて、独力で早稲田大学に行きました。
演劇においても、評価されることの方が多かった気がします。
演劇部では顧問と講師の先生に「大事な役は君に任せたい」「君がいたからこの脚本を選んだ」と言われたり、尊敬する先生に「君の才能を活かしたいなら東京でも演劇を続けた方がいい」と言われたりすることに喜びを感じていました。
裏を返せば、完璧でなければ、才能がなければ自分には価値がないと思っていたのかもしれません。
23年目にしてようやく、自分が不完全であるということを認める機会を得られた気がします。不完全な自分が許せなくて自罰的になっていたけれど、それも含めて自分の個性なのだと初めて思いました。言い訳のように感じてしまうから、個性という言葉は嫌いだったのだけれど。
稽古はもう終わりますが、はみ出す不器用を武器に赤子のまま臨みます。お世辞抜きに、本当に素敵な作品だと思います。観ていただけたら嬉しいです。
会社でも家でも居場所を見つけられず一文字トオルは悶々としていた。そんな彼の唯一心休まる場所、それがヒーロー同好会「極東支部」である。仲間とともに大好きなヒーローを語り楽しい時間を過ごす日々。
だが、そこに謎の男アリダがやってきて状況は一変!気づけば彼の故郷へ。
そこでトオルと仲間たちは、思わぬ現実を目の当たりにする…。
ハイバネカナタ#16
『モザンビークス熱情!』
作・演出 服部紘二
10月31日(木)19:00❤️
11月1日(金)19:00
2日(土)14:00/19:00
3日(日)13:00/18:00
4日(月・祝)17:00
@シアター711
前売り3,500円/当日3,800円
学割1,500円
❤️(10/31のみ)レディース割2,800円ご予約 https://www.quartet-online.net/ticket/haibane_moza?m=0dhaehj