ありふれたラブソングに

感動しちゃってバカみたい どうかしてしまったのかな(菅田将暉/ばかになっちゃったのかな)

 

こんにちは、既に今期12単位を取得したのに、卒業要件までまだ8単位足りない井本みくにです。

 

1月、えげつないほど忙しいです。

大学に行って稽古。バイトをしてから稽古。大学に行ってからバイト。稽古してからバイト。終日稽古。そんな事の繰り返しで、あっという間に本番まであと5日になりました。

稽古が始まってからまだ1週間しか経っていないのだという事に今気づきました。

 

どうですか、みなさん。2019年、全速力で駆け抜けていますか。

 

私はといえば、開幕早々信じられないくらいのスピードで日々が過ぎています。芝居をする上ですぐに方向性を決められるほど器用ではない私には、稽古期間が短すぎて不安になります。

 

年末に帰省した時にふと、去年までの自分とは大きく変わりたい、と思いました。

わがままを押し通して生きてきました。地元が嫌いで嫌いで仕方なくて、親の反対を押し切って東京に出たし、芸事に夢中になって安定した仕事に就くこともしないし。

 

それはもう、私の性分なのだと思います。これまでの人生で満たされなかったものをなんとか取り返したくて、夢中になったら曲げられなくて。

それでも、変われる部分はあるのだと思います。些細なことで反抗していた母に少し歩み寄ってみたり、大学を卒業してからも芝居を続けると決めて、今まで考えなかったことを考え出したり。

 

演劇が好きだから、だけじゃなくて、私だからこそできるものだから、と言えるようになりたいと思いました。今までは深く考えなかった役作りというものに、初めて向き合っています。私にしか出来ないことなんてこの世界にはきっとないのだけれど、永江ミツキという役を演じるのが私でよかったと思ってもらいたくて、この作品が心に残りつづけるものであってほしくて、寝ても覚めても芝居のことばかり考えています。

 

演出を担当されている武藤淳さんに「この作品がキャスト全員にとっての代表作になってほしい」と顔合わせで言われたことを思い出します。

これまでだって決してそう思っていなかったわけではないけれど、今まで以上に真剣に、今出来ることをやっていきたい。

 

ありがたいことにチケットは完売していますので、観に来てね、と宣伝をすることはもう出来ません。出来るのは、全力で稽古に打ち込むことだけ。

 

 

話は変わりますが、私の青春は決して華やかなものではありませんでした。

初めての彼氏に浮気されたこと、いじめられたこと、思い出すのは決まって暗い思い出ばかりです。悔しい思いをたくさんしてきました。

音楽や読書や演劇に、何度も救われてきました。デート代わりに彼と待ち合わせていた学校の図書館で、本を読むことが楽しみでした。

電子辞書に入っていた青空文庫で、授業中にこっそり本を読んでは「私もいつか、誰かの心を動かせるようになりたい」と思っていました。

 

人生を支えてくれた太宰治の作品を演じられるというのは、本当に幸せなことです。

 

私には、観る人の心を動かすような脚本を書く才能がありませんでした。ひょっとしたら技術を知らないだけなのかもしれませんが。だからこそ、誰かの言葉を届けられる俳優というものに憧れました。

共演者の西野凪沙ちゃんが「ミツキのシーンが1番観ていて泣いてしまう」と稽古終わりに言ってくれました。本番では3倍くらい泣かせてやろうとこっそり思いました。

この作品を通して、憧れていた存在に少し近づくことができたら幸せです。

 

チケットを予約してくださった皆様、本当にありがとうございます。見届けてもらえる幸せを噛み締めながら、精一杯生き抜いてみます。

 

 

毎日の稽古が楽しくて仕方がない。がんばってきます。